ジャイアントゲッコー/ツギオミカドヤモリの飼育方法
写真:_paVan_氏による”New Caledonian Giant Gecko, Singapore Zoo“ライセンスはCC BY2.0に基づく
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この記事の目次
➀ジャイアントゲッコーの紹介と魅力
別名、ツギオミカドヤモリ。
クレステッドゲッコウなどと同じ、通称ラコダクというヤモリのグループの一種です。
全長が40cmを超えることから、世界最大のヤモリとして知られています。
体が長いだけでなく、横にも大きく、かなりドッシリとした姿をしています。
手で持つと重量を感じられ、なおかつ感触はモチモチとしていて、ハンドリング面でも人気があります
ただ、気性が荒い個体もいますし、噛まれるとめちゃめちゃ痛いので注意が必要です!
個体によって色や模様の変化が激しいので自分好みの個体を見つけるといいでしょう。
性成熟に時間がかかるため、他のヤモリよりも非常に高価。
また、産卵数も多くなく、入手がかなり制限されます。
保護上の理由から、ニューカレドニアからの輸出も禁止されています。
飼育を始めるのであれば、繁殖をぜひぜひ目指したいヤモリですね。
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➁価格 寿命 生態など
*和名:ツギオミカドヤモリ
学名:Rhacodactylus leachianus
英名:New Caledonian Giant Gecko
分類:イシヤモリ科 ミカドヤモリ属
分布:ニューカレドニア
全長:35~40cm程度、最大42㎝
寿命:20年以上
価格:80000~100000円前後
生態の箇条書き
ニューカレドニア本島と近隣の島々のみに生息。
樹上性ですが時々地面に降りてきます。
時々朝の太陽の下で日光浴をしますが、夜行性です。
雑食性で昆虫やクモ、小さなカエル、トカゲ、小鳥、果物、樹液などを食べます。
➂飼育環境の作りかた
飼育に必要なもの
- 飼育ケージ
- 遠赤外線ヒーター
- 爬虫類用サーモスタット
- 床材
- 水容器
- シェルターや登り木
- エサ
- (カルシウム剤)
以下で一つ一つ説明していきます。
・飼育ケージ
樹上性のため、高さのあるケージが必要になります。
また、世界最大のヤモリということもあって、、ケージサイズもかなり大きいものを用意したいところです。
最終的には60×45×60㎝程度のケージサイズがあれば十分です。
ケージには爬虫類用ガラス水槽や熱帯魚用ガラス水槽などが用いられます。
通気性の面や管理のしやすさの面から考えて爬虫類用ガラス水槽を使用するほうがベストです。
ジャイアントゲッコウは大きいですからフンもそれなりにしますしね。
少々値は張りますが、断然おすすめですね。
熱帯魚用の水槽を使う場合は、蓋を網上のもの(BBQネット)にしたりして通気性を高めてください。
・温度(遠赤外線ヒーター、爬虫類用サーモスタット)
生息地のニューカレドニアは亜熱帯気候に属しており、平均気温24℃と一年を通してかなり温暖です。
寒い時期はしっかりと保温してあげましょう。
日中のケージ内の温度は26~27℃程度、夜間はそれよりやや下げます。
暖突を設置したり、パネルヒーターを壁面に張ったりするなどしてうまく保温しましょう。
温度の調節や日夜の温度差には爬虫類用サーモスタットの使用が便利です。
・湿度(床材、水容器)
50~70%と高湿度の環境を好みます。
といっても別に難しい事ではなく、床材には湿度を保てる素材(ヤシガラ土など)を使用し毎日霧吹きをすれば大丈夫です。
壁面に霧吹きがかかると壁にへばりつくことが難しくなるので、ケージ内にイミテーションの植物や観葉植物を置き、その葉に霧吹きをするといいでしょう。
また、水容器から水を飲むことは少ないですが、飲み水として、そして湿度を上げる意味として水容器をケージに内に設置してあげてください。
注意点として、蒸らさないことが重要となります。
蒸らすと皮膚病になってしまうので、湿度を高めつつもしっかりとケージに通気性を確保するようにしてください。
・シェルター
野生下では木のくぼみなんかに潜んでいますので、それを再現してあげる必要があります。
流木やコルク板でうまく、登ったり隠れたりできるようにしてあげましょう。
コルクチューブに湿らせた水苔をいれたものがあると、ウェットシェルターとなり非常に便利ですのでおすすめです。
コルクチューブが一般的ですが、他にも塩ビパイプや竹筒、観葉植物なんかも効果的。
観葉植物を設置する場合は、葉や幹が小さいものだとすぐにヤモリに破壊されてしまうので、パキラなど太い植物を利用するといいでしょう。
・エサ
基本的に人工飼料だけで飼育が可能です。
レパシーフードという、水を混ぜ合わせるだけでエサになる飼料が販売されています。
それをメインで与え、時々オヤツ程度に昆虫などを与えるようにすれば完璧です。
普段、人工飼料を与えている個体に生きた昆虫を与えると目の色を変えて飛びついてきたりします。かわいいです。
通常は、すぐにレパシーフードを食べますが、食べない場合には数日水だけ与えて断食させてから与えてみます。
もしくは、コオロギに着けてから与えてみたり、鼻先に少しつけたりしてみてなんとか餌付けを行いましょう。
エサの頻度は、ベビーは毎日、アダルトになったら数日に一回で大丈夫です。
また、爬虫類のエサにはカルシウム剤を添加するのが常識です。
しかし、人工飼料にはあらかじめカルシウムが含まれています。
そのカルシウム量が不安ならば、保険にフードにカルシウム剤を塗すことをおすすめします。
カルシウム剤にはカルシウムのほかにビタミンD3が含まれているのものもあり、含まれているものと含まれていないもの2つ用意する必要があります。
普段はビタミンが含まれていないものを餌にまぶして与え、たまにビタミンが含まれているものをまぶして与えてください。
ビタミンD3のとりすぎもクル病と似た症状を引き起こすので注意が必要です。
➃繁殖方法について
1.ペアを揃えよう
繁殖に用いるのは、3歳以上の健康的な個体でなければなりません。
育っていない個体、特にメスが育っていないとそもそも交尾を受け入れようとしなかったり、卵詰まりが発生してしまうなど様々な問題が発生します。
焦らず、じっくり育て上げましょう。
2.クーリング
クーリングをすることで繁殖活動をうながすことができます。
冬の間、11月から2月頃にかけて、24~25℃程度と温度を少し下げます。
ペアの顔合わせは、このクーリング期間中に試みるといいでしょう。
メスのケージ内に、オスを入れたケージや容器を入れ、様子を見ます。
この時、ケージ越しにかみつこうとしたリ、威嚇したりすると望み薄なカップルです。
一方、寄り添うような行動を観察できるといい感じのカップルですね。油断はできませんが。
3.交尾
相性の悪いペアによっては、お互いにケガをさせたり、場合によっては殺したりすることも珍しくありません。
クーリング時の顔合わせでうまくいくように見えても、実際同じケージに入れてみたら事故が起きたなんてザラです。
十分注意しましょう。
2匹を一緒にすると、うまくいけば頭を上下に動かしたりして互いに求愛したり、またはすぐに交尾を始めます。
4.産卵のさせ方と卵の管理
交尾を確認したらオスとメスを分離し、メスのケージに産卵床を用意します。
卵は通常、交尾から30日以内に産卵されます。
1クラッチで卵2個。1〜6回のクラッチが可能ですが、普通2〜3回のクラッチにとどまります。
卵は、温度に応じて45〜150日の範囲で孵化します。
26~31℃で温度を保ちましょう。
5.産卵後のメスのケア
メスは産卵に非常に体力を奪われます。しっかりと餌を与えて体力を回復させましょう。
場合によってはピンクマウスなど、高カロリーのエサを与えてみるのもいいでしょう。
また、カルシウム剤やビタミン剤の添加は必須です。