魅惑のトゲオアガマ
この記事の目次
①トゲオアガマの紹介と魅力
砂漠のおっさん達をご存知でしょうか?
もちろん、砂漠に住んでいる民族とかのことではありません。
『トゲオアガマ』
爬虫類界の”おっさん”とは彼らのことを指すのです。
ふてぶてしい顔がおっさんのように見え、カワイイともてはやされてきました。
実際のおっさんとは違いますね笑
フトアゴヒゲトカゲと同様にアガマの仲間ですが、完全な草食性。
砂漠に落ちているわずかな種子や植物を探し求める生活を送っています。
”トゲオ”の名の通り、尾にトゲが生えており、巣穴に引っ掛けて抜けにくくしたり、振り回して敵に攻撃したりするなどなかなかアグレッシブな一面も持ち合わせています。
今回はそんなおっさん達のことを詳しく紹介していきます。
まずは、主なトゲオアガマの種類を見ていきましょう!
スポンサーリンク
②主なトゲオアガマ11種紹介
- サバクトゲオアガマ
- ゲイリートゲオアガマ
- マリトゲオアガマ
- フィルビートゲオアガマ
- ニシキトゲオアガマ
- クジャクトゲオアガマ
- エジプトトゲオアガマ
- トーマストゲオアガマ
- ハードウィッキートゲオアガマ
- コウテイトゲオアガマ
- ソマリアトゲオアガマ
1.サバクトゲオアガマ
写真:Udo Schröter氏による“Uromastyx acanthinura 1”ライセンスはCC BY-SA2.0に基づく
別名:アカンシニュルストゲオアガマ 学名:Uromastyx acanthinura 英名:Spiny-tailed Lizard 全長:最大40.3㎝ 価格:35000~40000円前後 特徴 トゲオアガマの中でも1,2を争う丈夫さ、人気度。 オレンジ、黄色、赤色などと多様な色彩の個体がいて選ぶ楽しさがあります。 実は、色彩鮮やかなものはモロッコトゲオアガマという亜種で、基亜種は割と地味目です。 基本的にはモロッコトゲオアガマの方が輸入されます。 飼育が容易な部類のトゲオアガマ。
2.ゲイリートゲオアガマ
別名:サハラトゲオアガマ 学名:Uromastyx geyri 英名:Saharan Spiny-tailed Lizard 全長:最大40cm 価格:10000~15000円前後 特徴 猛烈な赤色や黄色のトゲオアガマ。 特にしっかりと状態を上げ仕上げた個体の美しさは目を見張るものがあります。 サバクトゲオアガマとよく似ていますが、尾がこちらの方が長いことで見分けがつきます。
3.マリトゲオアガマ
写真:Jean氏による”Mali spiny-tailed lizard“ライセンスはCC BY2.0に基づく
学名:Uromastyx dispar maliensis 英名:Mali Spiny-tailed Lizard 全長:最大50cm 価格:20000~30000円程度 特徴 比較的大型のトゲオアガマです。 胴体が黄色、他部分が黒というのはオスに典型的な色彩。 頭部がガッチリと発達することが特徴的。咬まれたくないですね。 ディスパートゲオアガマの亜種として知られ、 オビトゲオアガマという亜種がもう1種存在しています。
4.フィルビートゲオアガマ
学名:Uromastyx ornata philbyi 全長:最大35㎝ 価格:20000~35000円程度 特徴 次項のニシキトゲオアガマの亜種ですが、別種とされることもあります。 仕上がったオスは非常に美しい青色とオレンジ色をしています。 背部のスポット模様が特徴的。
5.ニシキトゲオアガマ
写真:blariog氏による”P1090695“CC BY-SA 2.0に基づく
別名:オルナータトゲオアガマ 学名:Uromastyx ornata 英名:Ornate Dabb Lizard、Ornate Mastigure 全長:最大35㎝ 価格:30000円前後 特徴 青色や緑色、オレンジ色の鮮やかな色合い。 完璧に仕上がった本種の美しさは爬虫類の仲間の中でも群を抜いています。 飼育はやや癖があります。
6.クジャクトゲオアガマ
別名:オセラータトゲオアガマ 学名:Uromastyx ocellata 英名:Eyed Spiny-tailed Lizard、Eyed Dabb Lizard 全長:最大35㎝ 価格:10000~20000円前後 特徴 青色や緑色、赤色とかなりバリエーション豊かな色彩が一個体で楽しめます。 メスも褐色みが強くそれなりに美しいです。 ただ、しっかりとした色彩を出すには、理想的な環境を用意する必要があります。 飼育にはやや癖があります。
7.エジプトトゲオアガマ
写真:Omid Mozaffari氏による”Uromastyx_aegyptius_by_Omid_Mozaffari_1“CC BY 2.0に基づく
学名:Uromastyx aegyptius 英名:Egyptian Spiny-tailed Lizard 全長:最大75㎝ 価格:10000円前後 特徴 トゲオアガマの中では最大種。 灰色、灰褐色、茶褐色といった色合いをしています。 大型種ですので飼育には大きなケージが必要。 亜種にコウロコトゲオアガマが知られています。
8.トーマストゲオアガマ
写真:Paul Korecky氏による”2018-05-31 AT Wien 13 Hietzing, Wüstenhaus, Uromastyx thomasi” CC BY-SA 2.0に基づく
別名:オマーントゲオアガマ 学名:Uromastyx thomasi 英名:Thomas's Mastigure 全長:最大25㎝ 価格:15万~25万円程度 特徴 短い尾が最大の特徴。 尾を振り回して攻撃できませんが、自然下ではどうしているのでしょうか。 色彩としては淡い青色や緑色、オレンジ色をしています。 目は釣り目でふてぶてしさは抜群。
9.ハードウィッキートゲオアガマ
写真:Nicholas Doumani 氏による”Koopa – Uromastyx Hardwickii“CC BY-ND 2.0に基づく
別名:インドトゲオアガマ 学名:Uromastyx hardwickii 英名:Indian Spiny-tailed Lizard、 Hardwick's Spiny-tailed Lizard 全長:最大35㎝ 価格:不明です。申し訳ありません。 特徴 尾が細長く、色は地味な個体が多いです。 比較的丸っこい顔が多いです。 入荷は非常に少ないですが、飼育は容易。 できれば繁殖を目指していきたい種です。
10.コウテイトゲオアガマ
別名:プリンケプストゲオアガマ 学名:Uromastyx princeps 英名:Princely Mastigure、Princely Spiny-tailed lizard 全長:最大25㎝ 価格:25万円前後~ 特徴 尾が短いながらも、トゲは刺々しく発達します。 成熟したオスはエメラルドグリーンやブルーの発色を見せ美しいです。 入荷は極めて少なく、入手はかなり難しいのが現状。 飼育方法も確立されてはおらず、今回紹介する飼育方法を適用できるかは不明です。
11.ソマリアトゲオアガマ
別名:マクファデントトゲオアガマ 学名:Uromastyx macfadyeni 英名:Macfadyen’s Mastigure 全長:最大30cm 価格:不明です。申し訳ありません。 特徴 珍種中の珍種。 入荷が極めて少なく、入手はほぼ不可能です。 成熟すると、青色や黄色の猛烈な美しさを発色します。 最も繁殖を目指したい爬虫類の一種として数えられるでしょう。
さて、次は基本的な飼育方法について解説します。
スポンサーリンク
③基本的な飼育方法
基本的な飼育方法を紹介します。
実際に飼育してみて、それぞれ応用して、個体に合わせてあげてください。
↓飼育に必要なものです↓
- 飼育ケージ
- 各種保温器具&爬虫類用サーモスタット
- 紫外線ライト
- 床材
- 水容器
- シェルター
- (ウェットシェルター)
- エサ
- カルシウム剤
1.飼育ケージ
高温の場所と涼しい場所があること、つまり温度勾配が飼育のポイントになるトカゲです。
そのためケージは体の大きさに比べて大きいサイズのものが必要となります。
底面積90×45以上、大型種では120×45㎝以上のケージを選択すると間違いがないです。
ケージには衣装ケース、熱帯魚用水槽、爬虫類用のガラス水槽を選択するのがオーソドックスです。
-衣装ケース-
メリット
・安価
・軽いため掃除や移動が容易
デメリット
・中が見えづらく見た目が悪い
・火事の危険性がある
・若干の改造が必要
衣装ケースは風通しが悪いのでケースにメッシュ部分を設けることが必要になってきます。
衣装ケースの上にバーベキュー用などの金網を乗せるのももちろんアリです。
また、衣装ケースの場合日々の管理は上から行うことになりますが、爬虫類は上から手を出されることを嫌いますので若干慣れづらくなる可能性があります。
WC(野生化採取個体)が多いトゲオアガマですので、ここは気を使うべきポイントでしょう。
-熱帯魚用ガラス水槽-
メリット
・見た目がよい
・比較的安価
デメリット
・重い
・通気性のある金網などの通気性のある蓋が必要
・衣装ケースの場合と同じように生体が嫌がる可能性アリ
値段は衣装ケース、熱帯魚用ガラス水槽、爬虫類専用ガラス水槽の順で高くなっています。
-爬虫類用ガラス水槽-
メリット
・見た目がよい
・風通しもよい
・飼育器具の電源コードを通す穴があり使い勝手が良い
デメリット
・高価
・重い
わたしのおすすめは断然爬虫類用のガラス水槽です。
自分の好みやお財布と相談して決めてください。
2.各種保温器具&爬虫類用サーモスタット
実際の砂漠地帯は昼夜の温度差が激しいので飼育下でも昼夜で温度差をつけます。
ケージ全体の日中の基本温度は26℃、夜間は20℃
に設定するといいです。
ケージ全体の保温には散光型の保温球や暖突を用いると効果的に温められます。
昼夜の温度の変化は爬虫類用のサーモスタットが売られているのでその器具で調節するのがベストです。
上の写真のようなバスキングライトを用いてホットスポットにガンガン光を当てて温めてあげてください。
ライトの大きさが小さかったりワット数が小さいと、体がなかなか温まりきらずホットスポットから生体が離れなくなることがあります。
その状態が続いてしまうと低温火傷になる恐れがあります。
そういった場合には、バスキングライトを複数設置したり、ライトのワット数を上げたりして対策を取りましょう。
火事には十分注意することも忘れないように!!
3.紫外線ライト
美しい体色に育てるまたは健康な状態を維持するためには非常に強い紫外線が必要です。
強力な紫外線を出すスパイラルライトや蛍光灯、もしくはメタハラを使用して紫外線を照射しましょう。
トゲオアガマの理想的な美しい発色を見たいのであれば、メタハラ一択です。
少々値は張りますが購入してあげましょう。
ちなみに、照度が低いとエサ食いが悪くなることがあるので明るくすることも大切です。
紫外線ライトやバスキングライトの話はこちら
4.床材
乾燥に保つことができる床材であれば基本的には何でもOKです。
爬虫類用の砂漠系の砂や赤玉土、チモシー、ペットシーツなどを使うといいです。
5.水容器
エサから水分を補給しますが、水容器から水を飲むこともあります。
最初はタッパーなどに水を入れて設置してあげてください。
あまり飲んでいないようなら取り除いてしまってOKです。
6.シェルター
隠れることを好みます。
流木やレンガ、岩などで隙間をつくれると彼らにとって理想的な隠れ家となります。
※重い物の設置には注意が必要です。
床材の上に岩やレンガを置くとトゲオアガマがその下に穴を掘って押しつぶされてしまったり、何かの拍子に崩れたりして危険ですので、気を付けてください!
7.ウェットシェルター
ニシキトゲオアガマ、クジャクトゲオアガマ、フィルビートゲオアガマなどは湿った場所を好みます。
個体が小さければ素焼きタイプのウェットシェルターを使用します。
個体が大きければ、大きめのタッパーや洗面器などに湿らせた床材を入れてコルクバークなどで蓋をして簡易的にウェットシェルターを作るといいです。
8.エサ
トゲオアガマは完全草食性です。
チンゲンサイやコマツナなどの葉野菜を中心にすえて、豆や植物の種もサブで与えるようにします。
野草の類や小鳥のエサ、そしてイグアナ用やリクガメ用のフードなどもよい餌になります。
-トゲオアガマのエサに関して注意点-
- 水分を野菜からとるので毎日生野菜を与える
- 豆類などの高タンパク質のものはたくさんあげない
- 昆虫は絶対に与えない
- ネギや玉ねぎ、ニラ、ニンニク、ホウレンソウなどのやばそうな植物は与えない
※意外ですがキャベツやブロッコリー、白菜、レタスもよくないです
これらの点によく注意して飼育して下さい。
与えてもよい野菜や果実についてはこちらを参考にどうぞ↓
9.カルシウム剤
エサには必ずカルシウム剤を必ず添加します。
カルシウムを与えないとクル病になる危険性が高まります。
クル病は骨の形成がうまくされない病気であり、1回罹患するとなかなか治りませんし最悪の場合死に至る恐ろしい病です。
カルシウム剤にはカルシウムのほかにビタミンD3が含まれているのものもあり、含まれているものと含まれていないもの2つ用意する必要があります。
ビタミンはカルシウムの吸収を促す効果があります。
普段はビタミンが含まれていないものを餌に塗して与え、たまにビタミンが含まれているものを塗して与えてください。
※ビタミンの摂りすぎもクル病と似た症状が出る恐れがあるので注意が必要です
次は実際に購入する際の個体の選び方です!
スポンサーリンク
④個体の選び方
入荷したてだと状態を崩していて飼育が難しい個体がいることがあります。
骨が浮いていたり、四肢や尾の根元が痩せている個体は選ぶべきではないです。
ショップである程度キープされ、しっかりとエサを食べている活発な個体を選ぶようにしましょう。
ただ、状態を崩していても立ち上げをしっかりできる自信がある方は止めません。
⑤多頭飼いは可能か?
結論から言うと可能なことが多いです。
ただし、オス同士でケンカしてしまうことがありますので、別居用ケージをすぐに用意できる方のみ可能と言えます。
また、トゲオアガマはWC(野生採取個体)が多いため寄生虫を持っていることが多いので多頭飼いすると、それが一気に伝染してしまうこともあります。
やはり、ケージを2つ用意でき、様子を見つつ同居させるやり方が理想的です。
それができないのであれば、しない方が無難だと私は思います。
※多頭飼いする場合それ相応のケージサイズが必要です。
この記事を読んだ人はこの記事も読んでいます。