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二シアフリカトカゲモドキ
写真:TheReptilarium氏による”image022“ライセンスはCC BY2.0に基づく
この記事の目次
①ニシアフリカトカゲモドキの紹介と魅力
今回紹介するのはヒョウモントカゲモドキと同じトカゲモドキ科のヤモリ、ニシアフリカトカゲモドキです。
トカゲモドキという名前が示す通りトカゲではなくヤモリの仲間ではあるもののツルツルした壁を登ったりすることはできない地表性の種です。
ヒョウモントカゲモドキ(以後レオパと表記)と同じ科であり比較的ポピュラーな種であることからレオパと比較され”彼らに劣っている、陰気だ、地味だ、つまらない”などと言われたりと不当な扱いを受けることもしばしばあります。
そのような扱いを受けることは非常にかわいそうです。
はっきり言ってレオパと飼育方法は全然違いますし、魅力もまた違っていると思います。
飼育難易度自体はレオパより高いですが、レオパの飼育が簡単すぎるのでそれと比べてもという感じはあります。
また、個人的には色彩に関して言えば、品種の数はレオパに劣っているもののこちらの方が好みの品種が多いです。
レオパより臆病ではあるものの飼育の醍醐味の一つハンドリングに関してはニシアフリカトカゲモドキの方が容易だという方もいます。
ニシアフリカトカゲモドキにはニシアフリカトカゲモドキの魅力があります。
もしこの種に興味があったらぜひ飼育にトライしてその魅力をほかの方にも伝えてほしいですね。
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-基本データ-
学名:Hemitheconyx caudicinctus 英名:African fat-tailed gecko 分類:ヤモリ科 トカゲモドキ亜科 フトオトカゲモドキ属 分布:西アフリカ沿岸 全長:18~25cm 寿命:10~20年程度 価格:15000円~
②飼育環境の作り方
~飼育に必要なもの~
- 飼育ケージ
- ウェットシェルター
- 水容器
- 床材
- 遠赤外線ヒーター
- 温度計
- エサ
- カルシウム剤
以下で一つ一つ説明していきます。
・飼育ケージ
A4サイズの面積ほどあれば十分飼育することができます。
プラケースや熱帯魚用ガラス水槽、爬虫類用ガラス水槽などがありますがどれを選択するかはあなた次第です。
どのケースを使用する場合でもある程度の湿度を保ちつつある程度の通気性も保つことが肝要です。
-プラケース-
安価で軽く掃除をしやすいという点が使用するメリットですが、見た目が悪いという点、通気性が高いという点がデメリットです。
見た目が悪いというデメリットは気にしないかたであればいいのですが、もし通気性がありすぎるプラケースを使う場合は問題です。
ニシアフリカトカゲモドキは高めの湿度を好みます。
ですのでプラケースの種類にも寄りますが通気性を少し抑える工夫が必要な場合があります。
見た目がよく比較的安価な点がメリットです。
ちなみに値段はプラケース、熱帯魚用ガラス水槽、爬虫類専用ガラス水槽の順で高くなっていきます。
プラケースに比べ重い点、蓋が付属していない場合自分で用意しなければならない点がデメリットです。
蓋が付属していればいいのですが熱帯魚用のガラス水槽を蓋なしでそのまま使用すると通気性が高すぎるので少し蓋に工夫が必要です。
見た目がよい点、横から手を入れられるので日々の管理が楽な点、ヒーターなどのコードを通す穴がついている点がメリットです。
値段が高い点がデメリットです。
じゃあ結局どれがいいのか?
私のおすすめは爬虫類用ガラス水槽です。
上であげたメリットもさることながら私がこちらをお勧めする理由にはトカゲやヤモリなどの持つある性質があるからです。
彼らの自然下での最大の天敵は鳥です。それゆえに彼らは上から見下ろされたり手を出されることを嫌がります。
ニシアフリカトカゲモドキは臆病個体が比較的多い種ですのでこの性質も考慮したほうがいいと個人的には感じます。
そこまで気にしなくてもいいとも思いますが、気になるという方は横から管理できる爬虫類用ガラス水槽を使用するのがベターだと思います。
・温度はどれくらい?
遠赤外線ヒーターをケースの半分から1/3の面積敷いて32度前後に保温します。ヒーターがある場所以外は26度前後あるのが理想です。
冬場などに温度が上がりきらない場合は発泡スチロールでケースの周りを囲んだり、別途ヒーターを追加して保温してください。
夏場の高温には、ケースを涼しい場所に移動させたり冷房を使用して暑くなりすぎないように注意してください。
・湿度(床材とウェットシェルター)
ニシアフリカトカゲモドキは多湿を好みます。
この彼らが好む多湿な環境は床材とウェットシェルターを使用して基本的には保ちます。
床材にはペットシーツやキッチンペーパーなどではなく保湿力のあるヤシガラ土や腐葉土を使用してください。
土は湿らせて使用します。匂いが出てきたら交換の時期です。
次にウェットシェルターの話です。
ウェットシェルターというのは素焼きの隠れ場所なんですが、上部のくぼみに水をためることでシェルター内にある程度の湿度を保つことができます。
ケース内に必ずセットしてください。
ウェットシェルターにもサイズが、s,m,lとありますが大きすぎるものや小さすぎるものを使用せず体の大きさにあうものを使用するように!
※多湿と蒸れは違います。多湿を保ちつつある程度の通気性も確保するのが飼育のポイントです。
・水の与え方
ニシアフリカトカゲモドキも水を飲みます。ウェットシェルターの上部で飲むようなら必要ないですが最初は設置しておきましょう。
容器は個体が溺れたり簡単に倒されたりしないならばどんなものを使用しても大丈夫です。
・エサは何を与えるの?
基本的にはコオロギデュビアなどの生きたエサや冷凍コオロギなどを与えます。
デュビアの管理・繁殖法はこちらをチェック↓
そういった虫をエサとして与えることは初心者の方にはかなりネックになる要素ですが昨今かなり嗜好性が高い爬虫類用のフードが販売されるようになり虫を与えなくてもいい場合も出てきました。
レパシー スーパーフード GRUB PIE(グラブパイ)12oz(340g)
こちらのフードは粉状でお湯をかけて混ぜてエサにします。
ニシアフリカトカゲモドキの多くが食べると聞きますがもちろん食べない個体もいます。(慣らしかた次第で食べるようになることももちろんあります。)
ショップでの購入の際にはフードを食べる個体を購入するのも一つの手だと思います。
ショップでフードを食べるかどうかわからない場合はもし個体がフードを食べない場合でも最後まで責任を持って飼育できるか?よく考えて飼育に臨んでください。
※どんな場合でもショップでなにを与えられていたかを聞くことは重要です。
・カルシウム剤
カルシウムを与えないとクル病になります。
クル病は骨の形成がうまくされない病気であり、1回罹患すると治りませんし最悪の場合死に至る恐ろしい病です。
カルシウム剤にはカルシウムのほかにビタミンD3が含まれているのものもあり、含まれているものと含まれていないもの2つ用意する必要があります。
ビタミンD3はカルシウムの吸収を助けます。
普段はビタミンが含まれていないものを餌に塗して与え、たまにビタミンが含まれているものを塗して与えてください。
ビタミンD3の与えすぎもクル病と同じ症状を引き起こすので気を付けてください。
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➂繁殖の方法
- ペアを揃えよう
- クーリングはさせるべき?
- 交尾
- 産卵
- 卵の管理
- 産卵後のメスのケア
- 孵化後の幼体の飼育方法
1.ペアを揃えよう
繁殖を行わせる生体は生後2年程度経った、十分成熟した調子のいい個体を選びましょう。
十分成熟していないと、体への負担が非常に大きく産卵後落ちてしまうリスクが高くなります。
話はそれますが、販売されるニシアフリカトカゲモドキの雌雄の比率は偏りがあります。
オスが少なく、やや高価で販売されます。
ニシアフリカトカゲモドキは孵化温度により雌雄が決定されるTSDで、オスでは31~32℃、メスでは32℃以上、31℃以下はメスが多くなると言われています。
しかし、これ以外にも彼らの雌雄が決定される要因が何かあるようで、雌雄に偏りが生まれる理由は確かではないようです。
2.クーリングはさせるべき?
クーリング:一時的に温度を低くしたり、エサを与えないようにして繁殖を促すこと。疑似的に冬眠?を行わせるわけですから非常にリスクが高いです。
結論から行くとクーリングは行うべきです。
レオパはクーリングをさせなくても繁殖できると言いますがニシアフリカトカゲモドキはそう簡単にはいきません。
やり方としては様々な方法があるようです。一例を紹介します、。
繁殖前に4~6週間ほど通常より5℃程度温度下げ、また日照時間も減らします。
この期間中エサは与えず水だけを飲ませるようにします。
クーリング期間が終わったら少しずつ温度と日照時間を上げ、エサを与えていきます。
クーリング期間中湿度を下げると効果が高いという意見もみられるので、クーリングは自然と湿度が下がる冬に行うのがベストですね。
3.交尾
オスをメスのケージに入れ交尾を促します。
うまくいけば、オスがメスの首にかみつき交尾が開始されます。
メスが明らかに不機嫌(尻尾を動かしたり歯を鳴らして威嚇)な行動を見せた場合は、素直に諦めて、日を改めてチャレンジしてみてください。
ペアでだけでなく、オス1メス2やオス1メス8で交尾をさせる人もいるみたいです。
もしそういった3匹以上で交尾させる場合は、個体間の様子をよく観察して注意して行ってください。
4.産卵
交尾後数週間で産卵を開始します。
交尾を確認したら、オスを取り除きメスのケージの中に産卵床を設置します。
湿らせたバーミキュライト(目安:指でつまんで絞ることができ、それがまとまっても水が滴り落ちなければ適切に湿っています)やタッパーなどを使ってうまく作ってあげましょう。
産卵床以外にも産卵してしまうケースが多々あるので、毎日よく観察して卵が無駄にならないよう注意してあげてください。
また、注意点としてヒーターの上に産卵床を設置するとガンガン乾燥してしまうのでヒーター以外の場所に設置するように。
彼らは通常一度に2つの卵を産みます。
たまに1つだけ卵を産むこともありますが、珍しいです。
通常、年に3〜5クラッチです。
5.卵の管理
メスが産卵したら、すぐに卵を取り出します。
この時、卵の上下関係を間違えないようにしてください。間違えると卵がダメになってしまいます。
卵は非常に乾燥に弱いので、産卵床と同じ湿度のバーミキュライトに乗せ管理してください。
温度は29~32℃程度で保ちましょう。
温度が低ければ8~10週程度で孵化します。
32℃と高温で管理すると6~8週程度で孵化するようです。
管理しているとカビが生える卵がどうしてもでてきます。
他の卵に移らないように早急に取り除きましょう。
6.産卵後のメスのケア
メスは産卵に非常に体力を奪われます。
ピンクマウスなど高カロリーの餌を与え、またビタミンやカルシウム剤の添加をたくさん行うようにしましょう。
7.孵化後の幼体の飼育方法
孵化したばかりの幼体はおなかにヨークサックと呼ばれる袋から栄養を補給できるので、孵化してから2,3日程度は給仕の必要がありません。
ファーストシェイド(最初の脱皮のこと)が終わったらエサを食べるので、余裕を持って食べられるエサを与えてください。
飼育方法は成体の飼育方法に準拠しますが、温度や湿度の低下に弱いのでしっかりと管理してあげてください。
また、幼体は誤飲が怖いので最初のうちは湿らせたキッチンペーパーなどで管理するほうがベターです。
➃個体の選び方
1.自分の好きな個体
当たり前ですが、一番大切なことです。
ニシアフリカトカゲモドキにはノーマルやアルビノ、ホワイトアウトなど様々なモルフがあります。
それらは値段が高いものから低いものまでピンキリです。一番安いのを買いたいと思う人は結構多いと思います。
でもちょっと考えてみてください。
彼らは一度飼ったら10~20年付き合うことになる、いわば相棒です。
自分の一番気に入った個体を購入するほうがベストだとは思いませんか?
2.将来を見据える
ニシアフリカトカゲモドキのモルフも、掛け合わせることで特徴を強めたり、新たなモルフを生み出すことが可能です。
そういうわけで繁殖を見据えて、戦略的に個体を選ぶのも一つの手でしょう。
3.チェックリスト
健康的な問題についてのチェックリストを作りました。
購入の際に参考にしてみてください。
□背骨が浮いていない
□指がかけていない
□脱皮不全していないか
□総排泄孔の周りが汚れていないか
□エサに餌付いているか