➀マタマタの紹介と魅力
今回紹介するのは擬態が非常に上手な水棲カメ、マタマタです。
ゴツゴツとしてなおかつ枯葉のような甲羅と三角形の大きな頭はさながら水底に沈む岩と落ち葉のようであり、かなりユニークな姿をしています。
この岩や枯葉に擬態する能力を生かし、油断した獲物が目の前に来ることを水底でじっと待ち続けるのです。
その興味深い習性や姿を飼育下で見たい!!
と思う方も多いでしょうが、人工飼料には基本的に餌付かないですし、成長は遅いですが大きく成長するので最終的には水槽も大きいものが必要ですし、寿命が非常に長いので飼育には相当の覚悟が必要です。
また、擬態の習性故にほとんど動かないので、動き回る活動的なカメを飼育したい方にはおすすめできません。
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基本データ
Photo by (c)Tomo.Yun
〈写真提供:http://www.yunphoto.net〉
学名:Chelus fimbriatus 英名:Mata mata 分類:ヘビクビガメ科 マタマタ属 分布:エクアドル、ガイアナ、コロンビア、スリナム トリニダードトバゴ、ブラジル、ペルー、ボリビアなど 甲長:40~50cm前後 寿命:正確な値は不明です。40年以上生きると聞いたことがあります。 価格:15000~30000円前後。 個体の大きさや入荷状況により値段は上下します。 大型の個体では数10万円することもあるようです。 生態:流れの緩やかな河川や池、沼などに生息します。 ほぼ完全な水棲のカメですが、 吻端を伸ばして呼吸ができる浅瀬で生活します。 動物食性で主に魚を食べます。 岩石や枯葉に擬態し、油断して近づいてきた獲物を 周りの水ごと飲み込むようにして捕食します。
➁飼育環境の作り方
飼育に必要なもの
- 水槽
- フィルター
- ピートorハンノキの実orマジックリーフなど
- カルキ抜き
- 熱帯魚用ヒーター
- サーモスタット
- バスキングライト
- 紫外線ライト
- 床材
- エサ
以下で一つ一つ説明していきます。
・水槽(底面積、水深について)
多くの方はベビーの個体から飼育を開始すると思いますので最初は体の大きさに合わせたプラケースや小さめの水槽等で飼育するといいでしょう。
マタマタはほとんど動かないカメとはいえ、水槽内で動き回ることぐらいはできるようにしてあげたいので最終的に必要な底面積は120×60㎝程度でしょう。
水深はマタマタが底面にいる状態で首を伸ばして呼吸ができる程度がベストです。
・水質について
カメは水をよく汚す生き物です。
カメが小さいときは水替えの際に毎回ケースの水を全替えする形で水質を保つことができますが、大きく成長すると毎回全替えというわけにはいきません。
成長したら熱帯魚用などのフィルターを付けるのがベターです。
ここまで大型のカメとなると最終的には大型の外部フィルターやオーバーフロー式(水槽の底面に穴を開け、水槽下に準備した巨大な濾過槽でろ過する)のフィルターの導入をお勧めします。
こういったフィルターは非常に強力ですが、カメの水を汚す力も超高校級です。
そういうわけでフィルターを付けていても週1,2回は1/3~1/2程度水替えすることをお勧めします。
水はカルキ抜きを入れるのもお忘れないように!
また、マタマタは弱酸性のPHを好むカメです。
マタマタが生息している環境の水質を再現するためにはブラックウォーターと呼ばれる水を作ることが不可欠です。
ブラックウォーターとは枯葉などから溶けたタンニンによって黒褐色に変色し酸性になった水のことでアマゾン川の支流などで多く見られます。
さて、そんなブラックウォーターを作るのにはいくつか方法があります。
①ピートモス
アクアリウム用に販売されているピートモスを洗濯ネットなどで包みフィルターの中に入れます。
このとき煮出すことも効果的なようです。
成分が溶け出しすぎて酸性にPHが傾きすぎてしまうこともあるのでPHを測りながら作るといいでしょう。
②ハンノキ(やしゃぶし)の実
ハンノキ(やしゃぶし)を使用するのも効果的です。
アクアリウム用に販売されているものがあるのでそちらを使うといいと思います。
使い方は基本的にはピートモスの場合と同様です。
③マジックリーフ
広葉樹の葉で水槽にそのまま入れることでブラックウォーターを作ることができます。
上の2つより成分が溶けるのは早いですが、崩れやすいため水槽内の景観を損なう可能性があります。
まあ、マタマタを飼うのならちょっとぐらい底面がこういった落ち葉で汚れている方が雰囲気はでるのではないでしょうか。
④テトラブラックウォーター
テトラより販売されているブラックウォーターを作るための調整剤です。
上の3つよりかなり手軽にブラックウォーターを作ることができるので非常に便利です。
すこし価格が高めなのが微妙な点でしょうか。。。
面倒くさがり屋の人はこちらを選びましょう!
※ブラックウォーター使用の注意点
- ブラックウォーターは活性炭やゼオライトによって吸着されてしまうのでフィルターにそういった素材のものは使用しないように
- ブラックウォーターを使用するとフィルターのろ過能力が下がります
・温度(熱帯魚用ヒーター、サーモスタット、バスキングライト)
水温は26~28℃程度に保温します。
熱帯魚用ヒーターを利用してうまく調節しましょう。
ヒーターはカメが火傷をしないようにカバーが付けられているものの使用がおすすめです。
また、マタマタは水棲ですがバスキングライト(日光浴再現のためのライト)は必要です。
日中だけケージの1か所に防滴性のバスキングライトを当ててやりましょう。
・紫外線
どの程度の強さの紫外線が必要なのかは不明ですが、紫外線ライトは必要なようです。
バスキングスポットに照射してあげてください。
恐らく↓のようなもので十分でしょう。
・床材
床材を使用すると汚れが砂に溜まってしまう恐れがあるのでなにも敷かないベアタンクでの飼育がベターです。
・エサ
残念ながら配合飼料に餌付くことは少ないようです。
生きた小魚などを週2,3回程度与えます。
口や体の大きさに合わせてメダカや、金魚、ドジョウ、川魚、エビなどをバランスよく与えましょう。
自分でストックして栄養補給してからマタマタに与えるといいと思います。
たくさんエサを与えると肥満になってしまいますし、栄養が偏ると健康を崩してしまう恐れがあるので気を付けてください。
<マタマタがザリガニを捕食します>
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