おすすめの樹上性トカゲ8種類紹介
樹上性トカゲ。
魅力的な響きです。
うっそうとした密林で、時には素早く獲物を捕らえ、時には敵に怯えひっそりと息をひそめ、時には枝葉の間を疾風迅雷のごとく駆け抜けます。
そんな彼らを飼う!
どんな種類がいいでしょうか?
どんな風に飼いましょうか?
そんな疑問に答えていきたいと思います。
まずはおすすめの樹上性トカゲを紹介します。
厳密には、ずっと樹上生活を営むものを樹上性と言いますが、今回は地上でも樹上でも行動するような立体活動を得意とする種を紹介します。
それぞれおすすめする理由と個人的に微妙だと思う部分も述べていくので、気に入った種をお選びください。
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この記事の目次
1.マラカイトハリトカゲ
写真:gailhampshire氏による”Green Spiny Lizard (Sceloporus malachiticus)“CC BY2.0に基づく
別名:エメラルドスイフト
学名:Sceloporus malachiticus
英名:Emerald swift、Green spiny lizard
分類:イグアナ科 ハリトカゲ属
分布:中米から南米にかけて
全長:15~25㎝程度
価格:8000~10000円前後
〇おすすめの理由
非常に活発に立体活動を行います。
飼育下でもその特性は健在で、岩や枝の上ををぴょんぴょんと機敏に走り回る姿などは見ていてとても面白いです
一方で気持ちよさそうにのんびり日光浴する姿も観察でき、そのギャップが非常に魅力的であると感じますね。
ちなみに肉食性の強い雑食です。
×個人的に微妙だと思う部分
小型種は小さいケージで飼育することがその魅力の一つかと思いますが、ハリトカゲは大きなケージで走り回らせないと少しずつ弱っていってしまいます。
日光浴をして体温を上げ、その後忙しく動き回る。
というサイクルを繰り返すので広いケージを用意しなければいけません。
2.フトヒゲカメレオンモドキ
別名:バルバータカメレオンモドキ
学名:Chamaeleolis barbatus
英名:Cuban False Chameleon
分類:イグアナ科 カメレオンモドキ属
分布:北米
全長:30cm前後
価格:40000円程度
〇おすすめの理由
なんといっても見た目がカッコいいです。
移動はゆっくりで、なおかつそう動き回る種ではありませんが、自分の気に入った場所で堂々とたたずむ姿は非常に魅力的です。
今では飼育不可能となったアノールによく似ているので、アノールを飼育したい人にも勧められるかもしれません。
×個人的に微妙だと思う部分
あまり動かない。
樹上性の魅力の一つは、立体的に組んだレイアウトの中で動き回る。
というものがありますが、カメレオンモドキは活発に動き回るトカゲではないため少し物足りなく感じてしまうかもしれません。
流通する他の種として、ポルカスカメレオンモドキがよく知られています。
3.カロテスの仲間
シロクチカロテス 写真:Malcolm Manners氏による”Cool lizard“CC BY2.0に基づく
分類:アガマ科
分布:東南アジアから南アジアにかけて
価格:3000円~、種類によってかなり変わります。
比較的流通しやすいと感じる種類
- クロクチカロテス
- シロクチカロテス
- イロカエカロテス
- コグシカロテス
- バッハカロテス
など
イロカエカロテス 写真:Raj氏による”Oriental garden lizard (Calotes versicolor)“CC BY2.0に基づく
〇おすすめの理由
緑色でトゲトゲしており『ザ・トカゲ』といったようなフォルムで非常にかっこいいです。
全長は30~40cmを超える種もいますが、ほとんどが尻尾でそう大きなケージでなくとも飼育が可能です。
また、平常時や興奮時など感情によって色彩が変化するのは見ていて面白いです。
45×45×60㎝もあれば種によりますが十分飼育が可能です。
×個人的に微妙だと思う部分
最も流通し、かつ安価なのはイロカエカロテスですが、色合いがやや地味。
他のカロテスもチラホラ入荷するのも、そう数は多くなく欲しいときにいないことが多い印象ですね。
種類の判別が難しく、種名がわからないまま入荷することも多いです。
それが逆に面白いと思う方もいるかもしれませんが、、、
4.クシトカゲの仲間
ベニクシトカゲ 写真:Rushen氏による”Acanthosaura lepidogaster, Brown pricklenape (adult) – Phu Hin Rong Khla National Park“ CC BY-SA2.0に基づく
分類:アガマ科 クシトカゲ属
分布:東南アジア
全長:20~30cm前後
価格:4000円程度~
〇おすすめの理由
クシトカゲの名の通り、クシ状の背中の突起が見事。
中国の伝説上の生き物である龍のような姿はかっこいいの一言では言い表せません。
あまり動かないですし、あまり高い温度を好まないので、同サイズの他のトカゲに比べて小さなケージで飼育可能。
×個人的に微妙だと思う部分
あまり動かない。不活発。
人によっては飼っていてつまらないと感じると思います。
5.モリドラゴンの仲間
オオモリドラゴン 写真:Bernard DUPONT氏による”Giant Forest Dragon (Gonocephalus grandis)“CC BY-SA2.0に基づく
分類:アガマ科 モリドラゴン属
分布:インドネシアを中心に東南アジア
全長:30~55㎝程度
価格
ドリアモリドラゴン:25000円程度
カメレオンモリドラゴン:10000~15000円前後
ベルモリドラゴン:5000円程度
〇おすすめの理由
カメレオンモリドラゴン 写真:Bernard DUPONT氏による”Bell’s Forest Dragon (Gonocephalus bellii)“CC BY-SA2.0に基づく
かっこいい。名前にドラゴンってついてますし。それだけでクール!
モリドラゴンの仲間でも種によってかなり姿が異なりコレクション性も高いですね。
あまり動かないトカゲなので、そう大きなケージでなくとも飼育が可能です。
×個人的に微妙だと思う部分
動かないためツマラナイと感じてしまうかも。
そこにいてくれるだけでいい人向きの種です。
6.インドシナウォータードラゴン
学名:Physignathus cocincinus
英名:Chinese water dragons
分類:アガマ科 ウォータードラゴン属
分布:タイ、ベトナム、インドネシア東部 カンボジア、中国南部など
全長:60~90㎝
寿命:10~15年程度
価格:5000円前後~
〇おすすめの理由
飼いこんだ個体、特にオスは極めて美しくなります。
値段もそう高くないので、言ってしまえばコストパフォーマンスに優れたトカゲと言えるかもしれません。
×個人的に微妙だと思う部分
臆病で、狭いケージで飼育すると逃げ回って口先をつぶしてしまう。
飼育環境をしっかりと整えてあげないと、背中の突起(クレスト)も伸びなければ美しくもならないので手間がかかります。
最大サイズの90㎝になる個体は本当に稀ですが、成体の飼育にはそれなりに大きなケージが必要となります。
最低でも90×45×60㎝のケージは欲しくなるかと。
7.ミドリツヤトカゲ(エメラルドツリースキンク)
写真:Kris H氏による”Emerald Tree Skink“ライセンスはCC BY-ND 2.0に基づく
分類:スキンク科 Lamprolepis 属
分布:インドネシア、フィリピン
全長:22~25㎝程度、最大30㎝
寿命:7~12年程度
価格:10000~20000円程度
〇おすすめの理由
緑色が美しいスキンク。
レイアウトしたケージで飼育すると魅力も一塩です。
ケージ内に観葉植物を植えたり、枝や流木などを配置して楽しく飼育をしましょう。
温和で多頭飼いも可能です。
×個人的に微妙だと思う部分
湿度を高めに取りつつ、通気性をしっかりと確保しなければうまく飼えない。
動きが素早くハンドリングには向きません。
8.ツリーモニターの仲間
全長:70~100㎝程度
価格
エメラルドツリーモニター:6~10万円前後
コバルトツリーモニター:10~18万円前後
〇おすすめの理由
非常に美しく、見ていて飽きることはありません。
手間暇をかければかけるほど個体のクオリティーも上がっていきます。
多頭飼いができる場合が多いことも魅力的です。
×個人的に微妙だと思う部分
非常に高価。
神経質な個体が多くハンドリングは難しいです。
〇基本的な飼育環境の作り方
飼育に必要なもの
- 飼育ケージ
- 保温器具&バスキングライト
- 紫外線ライト
- 床材
- 登り木
- 水容器&ドリッパーなど
- エサ
- カルシウム剤
以下で一つ一つ説明していきます。
・飼育ケージの選び方
この3点を守れば樹上性トカゲのケージ選びは完璧です!
一つ一つポイントを整理してしていきましょう
➀背の高いケージ
樹上性ということは読んで字のごとく、木の上で暮らしているということ。
できるかぎり背の高いケージを用意してあげて、上下の運動をさせてあげましょう!
背の高いケージでバスキングバスキングスポットを上の方に設けてあげると、床部分とかなり温度差ができて生体にとって理想的な環境をつくれます。
また、樹上性のトカゲというのは基本的に非常に臆病。
特に木の上で暮らしていることから、上から世界を見渡している分には安心しますが
見下ろされることを非常に嫌います。
床をケージにおいてた時は隠れてばかりだったけど、ケージを飼い主の目線より高い所に置いたら堂々とバスキングするようになったとか、ほんとによくある話です。
➁個体より大きいサイズのケージを選ぶ
クシトカゲやモリドラゴンなど不活発な種は体の大きさに合ったケージを選べばいいですが、多くの樹上性種は大きなケージを選ぶべきです。
というのも、今回はかなり活発に動くトカゲを選んで紹介しました。
大きなケージで飼育しないと本当につまらないです。
小さなケージでは飼うことはできても、それはただキープしてるだけで、真の生物の魅力は引き出せません。
やはり小型で細身のスキンクなんかは広いケージで走り回らせて、好きな環境を選ばせる飼育方法の方が調子が良くなりますね。
エサ食い良好!こういった種は代謝も比較的早いですし
・ケージの広さ
・バスキング
・エサの量が飼育の肝ですね。
— 春原 仁 (@ComHerp) September 9, 2019
また、上記のツイートを示しましたが
小さいトカゲは代謝が早く、活発に動いてエサを食べまくったり、好きな環境を常に選ぶライフサイクルを送っています。
そういうわけで小さなケージで飼育すると徐々に弱っていってしまいます。
➂通気性の高いものを選ぶ
今回紹介したトカゲは基本的に亜熱帯や熱帯出身です。(マラカイトハリトカゲは違う)
そういうわけで湿度の高い環境を好みます。
しかし、湿度は高いほうがいいですが、蒸れは嫌います。面倒くさいですね。
でも非常に重要なことです。
ケージを選ぶ際には通気性が高く、湿度がこもらないものの方がベターです。
まとめ ☑上下に移動できるように背の高いケージ ☑ケージはできる限り上の方に置く ☑活発なトカゲは大きなケージで飼う ☑通気性が高いケージを選ぶ
おすすめのケージはグラステラリウムシリーズの背の高いケージです。
・保温器具&バスキングライトの話
まず保温やバスキングライトってなんぞやって人はこちらの記事で勉強してください。
全体の温度が26~27℃程度もあればとりあえず基本的にはどの種も大丈夫です。
重要かつ注意しなければいけないのはバスキングライト。
バスキングスポットは35~40℃程度(ツリーモニターやハリトカゲはもう少し欲しい)もあれば大丈夫ですが、火傷に十分注意するように気をつけなければいけません。
というのもバスキングライトを多くの方はケージの中に入れると思います。
考えてみてください。
今回紹介したのは樹上性のトカゲです。
体の大きさに比べてランプが小さかったり、温度が足りなかったりすると彼らは熱を欲して木を登り、そしてライトに接近し火傷するのです。
バスキングライトはケージの外から照射するか、十分な照射範囲を持つものや適切な温度にしてくれるものを選びましょう。
・紫外線ライト
強めの紫外線ライトを設置してあげましょう。
どれくらいの紫外線量を放つライトを設置すればいいか悩むかもしれません。
しかし、背が高いケージを選んでおけば自分で気に入った場所で紫外線を浴びるので心配ご無用です。
・床材
今回紹介したトカゲを飼うなら床材はハスクチップがベストだと思います。
保湿性はもちろんのこと。
樹上性トカゲはけっこうケージの高いところから、地上にバサッと降りてきてエサを食べたりするんですがハスクチップはけっこうその衝撃を吸収してくれている感じがします。
それならヤシガラでもいいんではないか?
と言われそうですがあれは誤飲が少し怖いですね。
・登り木
飼育者が一番こだわりたい部分かもしれません。
樹上性トカゲのレイアウトに使える様々な商品が販売されています。
コルクチューブ
比較的軽いため非常にレイアウトに使いやすいです。
中が隠れ家にもなりますし、湿らせた水苔を詰めればウェットシェルターにもなります。
くねくね曲がる枝
いろんな企業から似たようなものが販売されています。
非常に柔軟な木のような商品で、好きに曲げて使用することができます。
使い方は自由自在!私も愛用しています。
各種流木など
様々なレイアウト用の気が売られているのでぜひお試しあれ。
・水容器&ドリッパーなど
樹上性トカゲの飼育の肝となってくるポイントです。
基本的にはタッパーなど体が入る大きさの容器に水を入れて水容器とします。
飲み水兼、湿度上げのためにもちいますので毎日新鮮なものに取り換えてあげましょう。
さて、ここからが本題です____。
樹上性のトカゲは静止した水だと飲み水と認識できない場合があります。
毎日最低1回は霧吹きを行い水を飲ませましょう。
この際、水を熱心に舐めているようだと普段あまり水を飲んでいない脱水症状の証拠です。
樹上性のトカゲは水切れに弱く、この状態が長く続くと簡単に死んでしまうこともあります。
対策は2つあります。
〇水容器にブクブク(エアポンプ)を入れて水を動かして認識させる
〇もしくはドリッパーで水を上から落として水を飲ませます。
好みの方を選びましょう。
・エサについて
良く動き回るコオロギがエサとしておすすめです。
不活発な種だとコオロギが近くに来ないと食べないなんて個体もけっこいたりします。
そういう場合には、木に結束バンドなどでカップを取り付けてその中にコオロギを入れておくと食べてくれます。
食べてくれなかったら工夫しましょう!
エサには必ずカルシウム剤を添加します。
カルシウムを与えないとクル病などの病気に罹患するリスクが高まります。
クル病は骨の形成がうまくされない病気であり、なかなか治りませんし最悪の場合死に至る恐ろしい病です。
カルシウム剤には【カルシウム】だけのものと【カルシウム+ビタミンD3】の2種類があります。
※ビタミンD3はカルシウムの吸収を促す効果があります。
普段は【カルシウム】だけのものをエサに塗して与え、たまに【カルシウム+ビタミン】のものを塗して与えてください。
※ビタミンの摂りすぎもクル病と似た症状が出る恐れがあるので注意が必要です。