青い舌と短い手足がトレードマークのアオジタトカゲです。
臭いだとか、目つきが気持ち悪いだとか、スキンクの仲間らしいヌルヌルテカテカの体だとかが嫌がれることもありますが、幅広い層に根強い人気があります。
その人気の理由とは?
やはり、非常に頑丈なこと、愛嬌のあるフォルム、コレクション性、人工飼料を好むこと、
などでしょうか。
また、種類にも寄りますが、紫外線ライトやバスキングライトなどの器具が必要なく飼育に踏み切るハードルがかなり低いことも大きな理由として挙げられます。
分布は主に、インドネシアやオーストラリア。
分布地域により飼育方法が異なりますので、少し注意が必要です。
まずは、アオジタトカゲの種類の紹介から行きましょう。
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この記事の目次
➀主なアオジタトカゲ9種類紹介
1.ハスオビアオジタトカゲの仲間
・キタアオジタトカゲ
学名:Tiliqua scincoides intermedia
英名:Northern Blue-tongued Skink
分布:オーストラリア北部
全長:40~60㎝、75㎝という記録もアリ
価格:40000円程度~
解説
キタアオジタトカゲは頑強な種が多いアオジタトカゲの仲間の中でも、特に丈夫なことで定評があります。
乾燥した寒暖差の激しい劣悪な環境に生息しているため温度、湿度にもあまりうるさくありません。
流通量も多く初心者の方におすすめです。
【入門種】キタアオジタトカゲの魅力と飼育方法/ケージの選び方は?価格は?
・キメラアオジタトカゲ
別名:タニンバールアオジタトカゲ
学名:Tiliqua scincoides chimaerea
英名:Tanimbar Island Blue Tongued Skink
分布:インドネシア(タニンバル諸島)
全長:40~50cm程度
価格:20000円程度~
解説
ハスオビアオジタトカゲの中で唯一インドネシアに生息する種です。
オーストラリア原産ではないためワイルド個体も流通するほか、CB個体も多いので流通量は多いです。
ベビーの時は模様を持っていますが、成長するにつれて薄れていきます。
動きは素早く、臆病かつ荒めの個体が多い印象です。
飼育自体は容易。
・ヒガシアオジタトカゲ
学名:Tiliqua scincoides scincoides
英名:Eastern Blue-tongued Lizard
分布:オーストラリア東部を中心に北部、南部
全長:40~60㎝程度
価格:30万円前後
解説
ハスオビアオジタトカゲの基亜種。
アオジタトカゲと言えばこの種をイメージする愛好家の方は多いと思いますが、実は流通量はかなり少ないです。
広い範囲に生息することから地域変異が激しく、同種でも様々な形態をもつ個体がいます。
キタアオジタトカゲに似ていますが、キタアオジタトカゲに比べるとバンドが少なく幅が広い傾向があります。
メラニスティック(全身が真っ黒)やアルビノ(黒色素がない)をはじめとした様々なモルフも作出されており、これからのモルフに期待がかかりますね。
2.オオアオジタトカゲの仲間
・ケイアオジタトカゲ
別名:カイアオジタトカゲ
学名:Tiliqua gigas keiensis
英名:Key Island Blue-tongued Skink
分布:インドネシア(アル―諸島、カイ諸島)
全長:50㎝
価格:50000円程度~
解説
他のアオジタトカゲと比べて細長く、動きも素早くアグレッシブな個体が多いです。
側面に特徴的な複雑な網目模様が入ります。
また、成長につれて背部のバンド模様は消え、霜降りのような模様へと変化していきます。
流通はやや少なめ。
・アンボンアオジタトカゲ
別名:ハルマヘラアオジタトカゲ、オオアオジタトカゲ
学名:Tiliqua gigas gigas
英名:Indonesian Blue-tongued Skink
分布:ニューギニア島西半分
全長:50~60㎝程度
価格:10000円程度~
解説
ニューギニア島西半分という広い範囲に生息するため、地域変異が激しいです。
熱帯雨林に生息しているため、飼育には湿度が必要。
黒味が強い個体が多い。
アザンティックなどの色彩変異が知られています。
・メラウケアオジタトカゲ
別名:インドネシアアオジタトカゲ、パプアンアオジタトカゲ
学名:Tiliqua gigas evanescens
英名:Merauke Blue-tongued Skink
分布:パプアニューギニア
全長:60㎝前後~80㎝程度
価格:15000円程度~
解説
かつては最もよく流通するアオジタトカゲでしたが、今は落ち着いています。
個体によって、色彩や模様などの形態が異なっており、アンボンアオジタトカゲやケイアオジタトカゲによく似た個体もいます。
そのため、見分けることが難しいです。
ハイポメラニスティクやアルビノ、アザンティック、パターンレスなどのモルフが知られています。
3.チュウオウアオジタトカゲ
別名:ホソオビアオジタトカゲ
学名:Tiliqua multifasciata
英名:Central Blue-tongued Skink
分布:オーストラリア中央部~西部
全長:30~45cm程度
価格:70万円程度~
解説
流通は非常に少なく、非常に高価なアオジタトカゲです。
オーストラリアの荒涼とした乾燥した大地に生息し、歩くときは腹を底に着けずに歩く。
別名の通り、細いバンド模様がたくさん入る見た目が特徴。
飼育には温度勾配が必要であり、頑丈なアオジタトカゲと考えていると足元を容易にすくわれてしまいます。
4.ニシアオジタトカゲ
学名:Tiliqua occipitalis
英名:Western blue-tongued skink
分布:オーストラリア(西オーストラリア州、ビクトリア州北西部、南オーストラリア州)
全長:30~45cm程度
価格:不明。300万円以上(個人的見解)
解説
幻のアオジタトカゲ。
究極のアオジタトカゲとでもいうのでしょうか。
日本には数回ほどしか流通しておらず、まずお目にかかることはできません。
もしも見かける機会があれば、それは極めて幸運です。
乾燥した砂漠地帯に生息しています。
尾が短いことが特徴的ですね。
5.マダラアオジタトカゲ
別名:ブロッチドアオジタトカゲ、ミナミアオジタトカゲ
学名:Tiliqua nigrolutea
英名:Blotched Blue-tongued Skink
分布:オーストラリア南部、タスマニア島
全長:40~50㎝程度。
価格:25万円前後~
解説
全長自体はそう大きくないが、胴体が長くどっしりとした印象を受けます。
大きく分けてハイランドタイプとローランドタイプの二つがあり、
ハイランドタイプ:黒を基調とし、黄色やオレンジの模様を持つ。
明るく派手。
ローランドタイプ:灰色や茶色をベースに、大きな斑紋を持つ。
一般的に丈夫とされる。
野生下では比較的涼しい環境に暮らしているようで、飼育においてもそこらへんを光量する必要があります。
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➁飼育方法を紹介・環境の作り方
一口にアオジタトカゲと言っても、インドネシアやオーストラリアに棲息しているもの、乾燥地帯や湿潤地帯に生息しているものなど様々です。
種類によって飼育方法が異なるので注意しましょう。
また、ニシアオジタトカゲやチュウオウアオジタトカゲといった市場にほとんど出回らないアオジタトカゲについては、私の知識が乏しいため無責任になってしまうので今回ほぼ扱いません。ご了承ください。
飼育に必要なものです。
- 飼育ケージ
- 保温器具(及び、紫外線ライト)
- 床材
- シェルター
- 水容器
- エサ
- カルシウム剤
一つ一つ説明しますね。
・飼育ケージ
ケージサイズ:90×45×45cm
大人のアオジタトカゲには最低でも底面積60×45cm、基本的には90×45cmのケージを用意してあげます。
底面積さえ確保できれば、あとは脱走できない範囲の高さで大丈夫です。
ケージには熱帯魚用のガラス水槽や爬虫類用ガラス水槽、衣装ケースなどが使用できます。
どれを選んだらいいの??
って感じだと思いますがやはりおすすめは爬虫類用ガラス水槽です。
爬虫類専用に作られているだけあって機能性や通気性に優れ、アオジタトカゲの飼育にも最適なものとなっています。
おすすめケージ
-ベビー~全長30cm程度–
・保温器具
加温部:26~28℃程度
温度可変式のパネルヒーターをケージの下に入れて1/3~1/2を保温してあげてください。
床から10cmくらいまでの高さは25度以上欲しいのでパネルヒーターだけでは温まりきらないようならば別途暖突などを設置して加温してあげると完璧です。
特に、インドネシア産のものは低温に弱い傾向があるので注意が必要です。
トカゲの飼育には基本的に紫外線ライトを設置するのが常ですが、アオジタトカゲの飼育には必要ないと言われています。
あればいいとは思いますが、なくても飼育はできます。
気になる方は、設置してあげましょう。
・床材
湿潤系と乾燥系のアオジタトカゲがいます。
ゆえに、それらに合わせて床材を変える必要があります。
特に、乾燥系は湿潤環境でもある程度適応できますが、湿潤系は乾燥に弱いです。
注意しましょう!
-湿潤系アオジタトカゲ-
(ハスオビアオジタトカゲの仲間、オオアオジタトカゲの仲間、マダラアオジタトカゲなど)
普段飼育するアオジタトカゲはこのタイプです。
彼らには湿らせたヤシガラ土などを使用してください。
圧縮タイプのヤシガラ土を買ってきて、ぬるま湯に浸しほぐした後、土が固くなってダマになるぐらいまで水を絞りほぐして床材として使用するとちょうどいい湿度を保てると思います。
床材の厚さは5㎝もあれば充分かなと感じます。生体が落ち着かないようなら適宜増やしてあげましょう。
ヤシガラ土は消臭に優れてはいますが、アオジタトカゲの糞はとても臭いので排泄をしたら毎回周りの床材ごと採り、床材がにおいを放つようになったら交換してください。
-乾燥系アオジタトカゲ-
(チュウオウアオジタトカゲ、ニシアオジタトカゲ)
爬虫類用の乾燥系の砂を敷いてあげましょう。
・シェルター
潜って隠れているような必要ありません。
落ち着きなく、ケージの角とかで登ろうとしているなら設置してあげましょう。
あまり登ろうとし続けると腰が曲がってきてしまうため注意が必要です。
また、シェルターを設置した際の注意点として、シェルターを上って脱走する可能性もあるので注意してください。
立体行動は得意ではありませんが、予想もできない動きをすることがあります。
・水の与え方/水容器
アオジタトカゲは水をよく飲みますので適当な容器に水をいれて設置してください。
水は毎日新鮮なものと交換します。
また、床材の上に直接重い水容器をおくと小さな生体が容器の下に潜り込んだ場合つぶされてしまう危険性があります。
十分注意して水容器をケージの底に設置して、その周りに床材を敷くといった工夫をするといいと思います。
・エサは何を与えるの?
アオジタトカゲは雑食性です。
コオロギやデュビアや果物、ゆでた野菜を主に与えますが雑食トカゲ用フードをほぼすべての個体が食べるようですのでそちらを利用するほうがいいでしょう。
雑食トカゲ用のフードには肉食傾向が強いものと草食傾向が強いものの2つがあるので、前者を使う場合にはサブに野菜や果実を与え、後者を使う場合はサブに昆虫を与えるようにすると完璧です。
雑食トカゲ用フードには、イグアナ用やフトアゴヒゲトカゲ用など非常に様々なものがあるので自分が手に入れやすいものや好みでそれぞれ選ぶといいでしょう。
最近はアオジタトカゲ専用フードも販売され始めたようです。
是非チェックしてみてください。
エサの頻度としては、ベビー~亜成体にかけてはガンガンエサを与えて、栄養をつけさせましょう。
その後は、エサを絞りつつ様々なエサを与えて肥満させないようにしてください。
・カルシウム剤
カルシウムを与えないとクル病などの病気に罹患するリスクが高まります。
クル病は骨の形成がうまくされない病気であり、なかなか治りませんし最悪の場合死に至る恐ろしい病です。
特にアオジタトカゲはカルシウム要求量が多いトカゲです。
カルシウム剤をエサに毎回必ず塗してから与えるようにしてください。
カルシウム剤には【カルシウム】だけのものと【カルシウム+ビタミンD3】の2種類があります。
※ビタミンD3はカルシウムの吸収を促す効果があります。
普段は【カルシウム】だけのものをエサに塗して与え、たまに【カルシウム+ビタミン】のものを塗して与えてください。
※ビタミンの摂りすぎもクル病と似た症状が出る恐れがあるので注意が必要です。
➂飼育上の注意点
アオジタトカゲのよく聞く失敗事例は、カルシウム不足によるクル病、背曲がり、尾曲がりです。
特に成長期はカルシウムを塗したエサをたくさん与えて健康に育ててあげてください。
また、脱走も地味によくあります。
あの体型からか油断してしまう飼い主が多いのでしょう。
油断は禁物です。脱走対策は怠らないように。
最後に、アオジタトカゲは爪がよく伸びます。
爪が長いと変なふうに指が変形して最終的に指が取れてしまいます。
定期的に爪を切るようにしてください。・
➃個体の選び方
生体を選ぶときに見るポイントは次の4つ
➀エサを食べているか
➁指が全部あるか
➂尾が再生尾か否か
➡アオジタトカゲも立派なスキンク。尾を自切します。再生尾が嫌な方は注意です。
➃骨格(背骨や尾など)がおかしくないか
➡興奮しているアオジタトカゲは体を膨らませるので、骨格が異常な個体も正常に見えることがあります。注意しましょう。
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➄最終目標:繁殖の仕方
インドネシアの種とオーストラリアの種によって繁殖方法が異なります。
違いが顕著に現れるのは、冬眠です。
インドネシアでは、雨季が11月から3月に発生します。
その雨季が収まるとオスはメスを追いかけ繁殖行動を行います。
飼育下では、3~4週ほど20℃程度にケージの温度を下げ、日中バスキングライトだけを照射します。
その後温度を元に戻し、雌雄を一緒にします。
オーストラリアの種は9月から11月にかけて繁殖行動をするようです。
北半球と南半球では異なるのであまり参考にはならないですが、、、。
8週間ほど10~15℃程度まで温度を下げます。
この期間は水だけ与えエサを与えません。
その後温度を上げ雌雄を一緒にし繁殖をさせます。
交尾後3,4カ月で子供を産みます。
アオジタトカゲは卵胎生のため、卵を産みません。
交尾を確認したら、メスにはガンガンエサを与え栄養をつけさせます。
繁殖は冬眠も含めてかなりリスクがあります。
よく注意して行いましょう。
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