ミズオオトカゲ
「恐竜みたいなトカゲが飼いたい」
そんなあなたに紹介したいのが、ミズオオトカゲです。
- どんな生き物なのか?
- どのように飼うのか?
- 危険性
などについて、爬虫類飼育歴8年、動物園で働く私が詳しく解説していきます。
この記事の目次
①ミズオオトカゲの魅力
ミズオオトカゲの魅力は大きく分けて2つあります。
1.でかくてかっこいい
ミズオオトカゲの最大の魅力、そして最大のアイデンティティはその尋常ではない体の大きさです。
大きく成長すると2m近くになるので大迫力、かつとても格好いい!
サイズは飼育者と同じかもしくはそれ以上の大きさになる可能性もあるわけです。
こんな恐竜みたいな生き物が間近で観察できるなんて、贅沢の極み!
飼育を始めれば、家はまさに「ジュラシックパーク」!
ただし、自治体への申請なしで飼育できるトカゲの中で最大種ですし、最終的にはとっても大きなケージが必要になります。
一部屋明け渡す覚悟で、大きくなっても飼いきれるかよく考えてから飼育に踏み出すべきですね。
フルアダルトになったら生半可なケージサイズでは対応できませんので、、、。
2.頭がいい
動物は体が大きくなればなるほど、頭が良くなる傾向があります。
トカゲでもこの傾向がみられて、ミズオオトカゲは非常に賢いです。
飼い主の顔を覚えてくれたりと、ある種の絆?のようなものも飼育して居るうちに芽生えてくることもあるでしょう。
実際、ある爬虫類youtuberの方が非常に飼い主に慣れているフルアダルトのミズオオトカゲを飼育して居るのが有名ですね。
いつもいっしょに寝ているというのだから驚きです
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➁ミズオオトカゲ 基本データ
別名 | サルバトールモニター |
学名 | Varanus salvator |
英名 | Common water monitor |
分類 | オオトカゲ科 オオトカゲ属 ミズオオトカゲ亜属 |
分布 | 南アジアから東アジアまで広く生息。タイ、中国など |
全長 | 平均160㎝、大型個体で250㎝ |
寿命 | 10~15年程度 |
価格 | 10000円~ モルフによっては100万円を超えることも |
- コモドドラゴンの次に最も重いトカゲ
- 半水生で泳ぎが異様に上手い。
- 主にこの種は原生林とマングローブの沼地に生息しますが、人の居住区など様々な環境に適応している。
- 魚、カエル、げっ歯類、鳥、カニ、ヘビを食べることで知られてる。カメや若いワニ、ワニの卵までも食べることがある。
- 天敵のコブラなどに狙われると、強靭な脚と爪を使って木に登ります。場合によっては木から水の中に飛び込んで逃げることもある。
- 鋭い嗅覚を持ち、遠くから死体の匂いを嗅ぐことができる。
- ミズオオトカゲの皮は、世界中で靴、ベルト、ハンドバッグなどのファッションアクセサリーに使用されている。
➂飼育環境の作り方
飼育に必要なものです↓
- 飼育ケージ
- ヒーター
- バスキングライト
- (爬虫類用サーモスタット)
- (エアコン)
- 水容器
- 床材
- エサ
- カルシウム剤
以下で一つ一つ説明していきます。
・飼育ケージ
個体のサイズによりますがベビーのうちは60㎝規格のケージ(60×30×36㎝)から始めると良いです。
あまり最初から大きなケージを用意するとケージ内を温めるのが大変ですし、生半可にスペースがあることで人に慣れにくくなります。
(アダルトの時に人に慣れていないと目も当てられません。
猛獣と化します。悲惨です。怖いです。)
成長に合わせてケースはサイズアップしてください。
飼育者が狭いなと感じた時点で個体にとっても狭いです。よく動くので狭いと魅力も半減です。
最終的には最低でも180×60×60程度のケージが必要でしょう。
個体のサイズによってはもっと大きいものが必要です。いずれにせよ一部屋明け渡す覚悟が必要です。
そのサイズのケージになると市販されてはいないので自分で作るか、専用の業者に頼んで作ってもらいます。
検索するとたくさん作ってもらえるところがヒットするので、評価を見つつ自分に合った業者の方に作成を依頼しましょう。
・温度について
基本温度は27~32℃、バスキングスポット(日光浴する場所)は37~45℃と高めの温度に設定します。
ケージ内が小さいうちは暖突や保温球で基本温度は調節します。
ケージサイズが大きくなると保温が大変です。他にも生体を飼育している場合はいっそのこと部屋ごとエアコンで保温したほうが楽だと思います。
バスキングスポットにはバスキングライトを照射してあげてください。
ケースのサイズや生体との距離でワット数は決めます。
サイズが大きくなったらライトの数も増やして体全体が温められるようにしてください。
そうしないと体が一向に温まりきらず局所的な低温火傷を引き起こす恐れがあります。
エキゾテラ サングロー バスキングスポットランプ 100W PT2133
・紫外線について
バスキングスポットに爬虫類用の紫外線ライトを当てます。
成長してしまえばそこまで気にしなくてもよいですが、特にベビーのうちは当ててやるのがいいでしょう。
紫外線ライトやバスキングライトの効果がわからない人はこちらを参考にどうぞ↓
・湿度はどれくらい?
ケージ内は多湿に設定します。
特に入荷して間もないベビーの個体は体調が落ち着くまで壁面に水滴がつくぐらいの高湿度を保つと良いようです。
ただし、高湿度は保ちつつ通気性を確保するという原則には従ってください。
通常時に必要な明確な湿度の値は不明です。体全体が入る水容器を用意してある程度の湿度を保ち、たまに霧吹きをしてあげましょう。
・水容器
水容器は水飲み場にも、トイレにもなるので常に清潔なものを用意してあげてください。
体全体が入り、呼吸がしにくくなるほどに深くないサイズのものを選ぶと良いです。
・おすすめの床材
ベビーのうちは湿らせたバークチップやヤシガラが良いです。
大きくなると掃除が追い付かないので人工芝などを敷くのがベターです。
・エサ
コオロギ、ゴキブリ、ローチ類、冷凍うずらや冷凍マウス、エビ、砂肝やハツ、レバーなど。
マウスは肥満の大敵なのであまり与えないようにしてください。昆虫やウズラをメインのエサに据え砂肝やハツ、レバーで満腹にさせると良いです。
ベビーのうちは毎日食べるだけ与えますが大きくなったら餌を絞り週1回から2回の給仕にします。とにかく肥満にさせてはいけません!!
・カルシウム剤
カルシウムを与えないと“クル病”という病気になってしまいます。
クル病は骨の形成がうまくされない病気であり、1回罹患すると治りませんし最悪の場合死に至る恐ろしい病です。
カルシウム剤にはカルシウムのほかにビタミンD3が含まれているのものもあり、含まれているものと含まれていないもの2つ用意する必要があります。
普段はビタミンが含まれていないものをエサにまぶして与え、たまにビタミンが含まれているものをまぶして与えるようにしてください。
※ビタミンD3の摂りすぎもクル病とよく似た症状を引き起こすことがあります。
➃懐くのか
爬虫類は基本的に懐かない、慣れる。というのが定説です。
しかし、個人的にはミズオオトカゲは例外的に個体によっては懐くと言ってしまってもいいのではと思うことがあります。
数人の方の話や、某爬虫類youtuberの方の飼育されている個体を見ると本当にそう思います。
また、「懐く」かどうかというのは、その生物が社会性を持っているかどうかが重要になってきます。
例えば、イヌやネコは社会性を持っているので、人に懐きます。
その点、ミズオオトカゲで言えば、近縁種のナイルモニターが他の個体と協力してワニの卵を奪うなど、社会性に似た何かを持っています。
以上を踏まえると、ミズオオトカゲの「慣れる」が「懐く」に分類される可能性は十分にあるように、私は考えています。
結局は飼い主がどう思うか次第ですが、「ミズオオトカゲは懐くんだ!!」と私は半ば夢をもって主張したいです。
➄飼いきれるか?飼育者の責任
「懐くor慣れる」話をしましたが、人間と心通わせ互いに良い関係を気付く個体は一部にとどまります。
ミズオオトカゲのフルアダルトの個体を見たことがあるでしょうか?
Youtubeや写真ではなく、実際に生でです。
自分が思っている想像以上に体が大きくなります。
動画サイトなどでは人慣れした個体がよく紹介されていますし、私たちの目に留まるのはそういった個体のみ。
しかし多くの個体はあそこまで慣れません。
・フルアダルトの個体がもし大暴れしたら、自分に止められるか?
・逃げ出さないような部屋作りを徹底できるか?
そのことをよく留意して飼育に臨んでください。
全長2mのオオトカゲは猛獣です。
大人を殺めるようなことはなくとも、赤ちゃんや犬猫、一般の方からしたら尋常ではない脅威の存在です。
絶対に逃がしてはいけません。
奴らを甘く見れば、モンスターの血が牙を見せることとなるでしょう。
➅まとめ
少し怖いことも書きましたがミズオオトカゲは頭もよくペットリザードにしては迫力があり、めちゃくちゃかっこいいです。
飼育もベビーのうちは少し癖があるものの、肥満にさえ気をつければ難しいことはありません。
勇気を出して飼育するのであれば、しっかりとした覚悟をもって、十分すぎるほどの準備をして、飼育にチャレンジしてみてください。
私はあなたたち挑戦者を心から応援しています。
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