写真:Bernard DUPONT氏による”Mossy Leaf-tailed Gecko (Uroplatus sikorae) (captive specimen)” ライセンスはCC BY-SA2.0に基づく
この記事の目次
①ヤマビタイヘラオヤモリの紹介と魅力
今回はヤマビタイヘラオヤモリの飼育記事です。
ヘラオヤモリの仲間はマダガスカル固有のヤモリで非常に擬態がうまいことで有名です。
擬態には2つのパターンがあり、枯葉に擬態するもの、樹皮に擬態するものの2パターンがあります。今回のヤマビタイヘラオヤモリは後者の樹皮に擬態するタイプの種です。
灰色と茶色が入り混じったなんとも形容しがたい体色と、ヘラのような尻尾。樹皮にそっくりです。
飼育下でへラオヤモリの生の擬態が見れるなんて贅沢なことなんでしょうか。なんてすばらしいことなんでしょうか。
そういう生態を間近に見れるということでへラオヤモリの飼育を魅力的に感じる方も少なくないかもしれません。
しかし、へラオヤモリの飼育は難しいです。
彼らが好む環境を作り出せばすんなり飼育はうまくいきますが、その環境を飼育下で作り出すのには技術とたくさんのお金が必要なんです。
それにうまく飼うことができても普段はほぼ動かないので、ただそこにいてくれさえすれば満足する人や、ごくたまに夜間に動いている姿を見れれば満足する人のみにしかおすすめできませんね。
流通する個体はほとんどがWC(野生化採取個体)ですので、ハンドリングにも不向きです。
魅力がわかる人のみ飼育するべき種です。
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-基本データ-
学名:Uroplatus sikorae 英名:Mossy leaf-tail gecko 分類:へラオヤモリ属 分布:マダガスカル北部および東部に固有 全長:18cm 寿命:3年~5年、もしくはそれ以上 価格:20000円程度~
②飼育環境の作り方
飼育に必要なもの一覧
- 飼育ケージ
- 遠赤外線ヒーター
- 温度計
- エアコン
- ファン
- レイアウト用品
- 床材
- エサ
- カルシウム剤
以下で一つ一つ説明していきます。
・飼育ケージ
まず第一前提として、へラオヤモリの飼育には低温で多湿なおかつ通気性が高いことが要求されます。
ですので選択する飼育ケージは通気性の高い爬虫類用ガラス水槽一択です。
大きさは1匹であれば30×30×45、1ペアならば45×45×45できれば45×45×60以上の大きさのケージを用意してあげればそう手狭には感じないのかなと感じます。
・温度(エアコン、遠赤外線ヒーター)
へラオヤモリの要求する温度設定は非常にシビアです。
日中の最適な温度は24℃、夜間は21℃くらい。
付け加えると日中の上限は27℃、夜間の下限は20℃と考えておくといいかと。
これを一年中保つのはかなり難しいです。日本の夏は暑い!!
夏をエアコンなしで乗り越えるのは不可能です。
夏場は24時間冷房をかけ、27℃以下になるようにします。電気代の出費は覚悟してください。
それ以外の季節は遠赤外線ヒーターを壁面に一枚貼るか、爬虫類サーモと暖突を取り付ければ事足りると思います。
温度交配を作りやすい大きいサイズの水槽を使用しているならば低ワットの小さいバスキングライトを取り付けられるとベターです。
・湿度(床材、ファン)
空気がよどんでいない多湿の環境をセッティングします。
温度の設定もかなりシビアでしたが湿度の設定はよりシビアです。
基本的には湿らせた床材とファンそして毎日の霧吹きで環境を作ります。
床材は、ヤシガラ土+バーミキュライトやヤシガラ土+腐葉土、ヤシガラ土+黒土などブレンドするのがおすすめです。
ファンは熱帯魚用のものが売られているでそちらを設置してください。
・飲み水の与え方
へラオヤモリは水をよく飲むヤモリです。
静止した水場で水を飲んだりすることはないので基本的にはイミテーションや観葉植物を水槽内に入れてそこに霧吹きをかけて水を飲ませます。
カメレオンの飼育に使う水が常に滴り落ちる器具(ドリッパー)を使うのもアリだと思います。
飲み水の確保の仕方には様々な工夫の仕方があるので飼育者の腕の見せ所ですね。
ちなみにガラスに水滴があるとヤモリはそこを登りにくくなります。ヤモリがガラスの壁面にくっついていたらそのあたりには霧吹きをしないようにしましょう。
・エサ(カルシウム剤)
コオロギやゴキブリなどを与えます。
首は頭に比べて細めですのであまり大きなエサは飲み込めません。個体の大きさを確認してちょうどいいサイズのものを与えるようにしてください。
デュビアの管理・繁殖法はこちら↓
また、カルシウムを与えないとクル病になります。
クル病は骨の形成がうまくされない病気であり、1回罹患すると治りませんし最悪の場合死に至る恐ろしい病です。
カルシウム剤にはカルシウムのほかにビタミンD3が含まれているのものもあり、含まれているものと含まれていないもの2つ用意する必要があります。
ビタミンD3はカルシウムの吸収を助けます。
普段はビタミンが含まれていないものを餌に塗して与え、たまにビタミンが含まれているものを塗して与えてください。
ビタミンD3の与えすぎもクル病と同じ症状を引き起こすので気を付けてください。
③個体の選び方
へラオヤモリの飼育の成功には状態のいい個体を選ぶことが必要不可欠です。
選ぶポイントは「壁面にしっかり張り付けているか、脱皮不全はしていないか」です。
へラオヤモリは壁面に張り付いて垂直に落下してエサを捕る習性があるので手足に脱皮不全があったり元気がなくて壁面に張り付けないとどうしようもなくなってしまいます。
できればエサを食べている個体を選びたいですがそこまで気にしなくてもいいようです。絶食には強い種ですので飼育を開始してからじっくりと餌に慣らしましょう。
飼育を開始してすぐにえさを食べないからといって焦るのは禁物です。飼育を開始したらまずは水を飲ませ、環境に慣れさせることが大切です。
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