この記事の目次
➀ニオイガメの紹介と魅力
ニオイガメとは北米に生息する水棲傾向の強い小型カメのグループです。
かつては、地味で飼育方法も確立されておらずあまり人気のあるグループではありませんでした。
しかし、小型であること、比較的安価な種が多いこと、陸地がなくても飼育が可能であること、飼育が容易であるということで非常に人気のあるグループとなりました。
陸地がなくても飼育が可能ということで、爬虫類飼育者だけでなく熱帯魚飼育者などにも人気があります。
カメ入門種としても、これから紹介するミシシッピニオイガメやカブトニオイガメはおすすめできます!
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➁ニオイガメの種類紹介
- ミシシッピニオイガメ
- カブトニオイガメ
- オオアタマヒメニオイガメ
- スジクビヒメニオイガメ
- ヒラタニオイガメ
1.ミシシッピニオイガメ
写真:USFWS Midwest Region氏による”Eastern Musk Turtle“CC BY2.0 に基づく
学名:Sternotherus odoratus
英名:Common Musk Turtle
甲長:10~13㎝程度、最大15cm
価格:3000円~
特徴
ミシシッピ川流域の大部分に広く分布していることからこの名がつけられています。
普段流通する小さな幼体は非常に弱く見えますが、 2~3年もしっかりと育てれば繁殖可能なサイズとなります。
健康であれば泳ぎは上手い。水流が強くなく、浅瀬があれば溺死するというケースはまずありません。
ニオイガメの仲間の中では比較的温和な性格です。 複数のオス同士やしつこく交尾を迫る雌雄同士でなければ複数飼育も可能。
2.カブトニオイガメ
写真:Laurent Lebois ©氏による”IMG_0012“CC BY2.0に基づく
学名:Sternotherus carinatus
英名:Razorback Musk Turtle
甲長:10㎝~、最大16㎝
価格:3000円~
特徴
カブトニオイガメ属の中で最大の大きさ。 甲羅が中央部で高く盛り上がることが特徴的。
協調性が悪く、同種同士の複数飼育は難しいです。
多種との飼育も避けるべき。
上のミシシッピニオイガメと並んで非常に人気のある種です。
3.オオアタマヒメニオイガメ
学名:Sternotherus minor minor
英名:Loggerhead Musk Turtle
甲長:13㎝前後
価格:20000円~
特徴
ヒメニオイガメはオオアタマヒメニオイガメと スジクビヒメニオイガメの2種に分類されています。
ヒメニオイガメと呼ばれるものの、 ニオイガメの仲間のなかで特別小さいというわけでもありません。
頭部が大きく、巨頭化する個体も少なくないです。
甲長自体もスジクビよりは大きめ。
スジクビとの違いとしてこちらの方が、甲羅が盛り上がり 甲幅が狭く、頭部に線模様が入りません。
協調性が悪い個体が多く、複数飼育は避けるべき。
止水よりは流れがある環境を好みます。(常識の範囲内で)
4.スジクビヒメニオイガメ
学名:Sternotherus minor peltifer
英名:Stripeneck Musk Turtle
甲長:10cm程度、最大12㎝
価格:25000円~
特徴
頭部は小さく、巨頭化を起こすこともオオアタマに比べて少ないです。
オオアタマ同様、協調性は悪い個体が多いため複数しくは避けるべき。
オオアタマと比べるとより流れが速い環境を好みます。 ただ、飼育下ではそう気にする必要はありません。
5.ヒラタニオイガメ
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学名:Sternotherus depressus
英名:Flattened musk turtle
甲長:8~10㎝程度、最大12.5cm
価格:40万円~
特徴
ニオイガメ属の中で最小、水生ガメの中でも最小クラスを誇ります。
かつてはスジクビヒメニオイガメと混同されていましたが、 本種は甲が扁平になることから判別可能です。
雌雄ともに高確率で巨頭化することが知られています。 甲羅の厚みより頭の厚みの方が出ることもあるとか。
水質汚染などにより現地では数が激減しており、 採取や輸出が厳しく制限されています。
ヨーロッパなどで増やされた個体が流通するのみのため非常に高価となっており、カメ愛好家にとっては憧れの1種といえるでしょう。
ニオイガメの近縁種としてオオニオイガメのグループがあります。
そちらが気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。
➂基本的な飼育方法
基本の飼育に必要なものは以下の通りです。
- 水槽
- 保温器具
- 紫外線ライト
- 床材
- 浅瀬が作れるもの
- (カルキ抜き)
- フィルター
- エサ
以下で一つ一つ説明してきます。
・水槽
ベビーや買ってきてすぐの個体は、甲羅の厚みと同じくらいの浅めに水を張った虫カゴなどで飼うといいです。
体力のない個体や浅い水深で飼われていた個体は、急に深い水槽で飼うと溺れてしまったりします。
そういうわけでまずはシンプルな水槽で飼育し様子を見ます。
徐々に水深をあげてやり最終的には45㎝規格以上の水槽で飼うといいです。
あまり小さい水槽で飼うと水量が少なく水替えの頻度も増えるのでできるだけ大きい水槽を選択するのがおすすめ。
60cm水槽が理想的でしょう。
水深が浅いと魅力は損なわれてしまいます。
自由に泳ぎ回れるような水深は確保してあげてください。
ミズガメは泳がせてなんぼ!
・保温器具
水温は26~27℃が理想的です。
しかし、気にするべきなのは体力のない幼体だけで健康的な成体であれば無加温で飼育できます。
加温方法としては、水量の少ない虫かごなどで飼育しているうちは温度調節可能なパネルヒーターなどでするとよいです。
水槽などで飼育をする場合は熱帯魚用の水中ヒーターを使用しましょう。
ヒーターには必ずカバーを付け、生体の火傷や漏電を防止してください。
・紫外線ライト
私が飼育しているうえではあまり重要視してはいませんが、紫外線ライトの照射を行っている方もいます。
普通のカメの飼育では、紫外線ライトを照射することで生体の代謝を整えたり、甲の成長を促したりするのですがニオイガメの仲間にはあまり重要なことではないようです。
ただ、紫外線を当てることにまったく意味がないかといえばそうではなく、多少なりともいい効用があるはずです。
気になる方はぜひ日中照射してみてください。
照射する場合はあまり強いライトを当てると、隠れてしまったりするので弱めのものを使用するようにしましょう。
ジェックス エキゾテラ ナチュラルライト 13W 可視光線 UVA 爬虫類用ライト
・床材
砂などを敷くとゴミが砂に溜まり汚れてしまいますし誤飲の可能性もあるので何も敷かないベアタンクで飼うのが推奨です。
・浅瀬が作れるもの
ニオイガメの飼育には生体が呼吸しやすいように利用しやすい浅瀬を作ってあげたり、陸地を作ってあげることが必須です。
流木やカメの浮島、レンガなどをうまく使用してカメが呼吸しやすいようにしてあげてください。
あまり複雑なレイアウトにしてしまうと、呼吸ができずにそのまま溺死してしまうこともありますので注意が必要。
・カルキ抜き
爬虫類の飼育において水道水を用いる場合カルキ(水道水に含まれる有害な物質)抜きは必要ないと言われがちです。
しかし、ニオイガメはほとんどの時間を水中で生活しているので特に幼体のうちはカルキ抜き剤を入れた水を利用するほうが無難だと思います。
・フィルター
カメはよく水を汚します。
熱帯魚用のフィルターを利用して水質浄化をしましょう。
ただ、フィルターを使用してもどんどん水は汚れていきますので週1,2回はしっかりと水替えを行ってあげましょう。
・エサは何を与えるの?
カメ用の人工飼料を主に与えます。
浮上性のエサは食べにくいので、沈下性のエサを与えるようにしましょう。
➃混泳は可能か?
ニオイガメはまず協調性が悪い生体が多いです。
ミシシッピニオイガメは比較的協調性もありますが、それでもリスクはあります。
ミズガメの飼育のセオリー通り、1匹1匹個別で飼育するべきでしょう。
どうしてもしたい場合は、すぐに隔離できるような水槽を用意したうえで様子を見つつ行ってください。
魚との混泳について。
動きの素早い魚とであれば混泳は可能と言われています。
しかし、私は素早いと言われているサイアミーズフライングフォックスと混泳させすべて食べられた経験があります。
恐らく寝込みを襲われたのでしょう。
そういうことで、安全な混泳は不可能です。
どうしても混泳させたい場合は、食べられてもよいエサ兼同居人といった感じで混泳させるようにしましょう。
ちなみに、貝やエビの類は大好物なので混泳はまず不可能です。
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