スッポンモドキの生態と飼育
写真:Jin Kemoole氏による”750_2077“ライセンスはCC BY2.0に基づく
①スッポンモドキの紹介と魅力&注意点
今回紹介するのは、ウミガメのような姿とキュートな豚鼻が特徴的なスッポンモドキです。
オサガメのようなドーム型で滑らかそうな甲羅、発達した水かき、愛くるしい顔、、、この世で最も魅力的なカメの一種であることは疑いようがありません。
さて近年、某音楽部アニメやネット、SNSなどによりその存在が広まり飼育する人が続出しました。
個体の値段自体はそう高くないカメですし、飼ってしまう人が増えるのもわかります。
しかし、スッポンモドキは簡単に飼育できるカメではありません。
購入可能な爬虫類の中でも、その飼育のハードルの高さはトップクラスを誇るでしょう。
なぜなら、スッポンモドキは非常に体が大きいですし、完全水棲、なおかつ遊泳性が非常に高いからです。
簡潔に言ってしまえば、すごく大きい水槽がないと飼えないんです。
すごく大きいというのも120㎝水槽とかそういう生半可なサイズではなく、カメにストレスを与えないためにも180×100×100水槽とかそういうスケール以上の水槽が理想です。
また、国内繁殖個体が出回るのでうまく飼育をしている人はいるのでしょうが、スッポンモドキの成体を飼育しているもしくは終生飼育した人なんて聞いたことないですし、飼育情報もなかなか見つけにくいため、いまいちどう飼育したらいいのか明確ではないような状況です。
長らく飼っては落とし、飼っては落としが繰り返される消費傾向の極めて強い生き物として扱われてきたのでしょう。
まとめると、一般家庭ではまず飼育できません。
本来は水族館で見て楽しむだけにとどめておくべき種です。
生半可な気持ちで飼う種では決してありません!!
それでもどうしても飼いたいという方、お金や土地ならいっぱいあるという方のみ続きをご覧ください。
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-基本データ及び生態-
写真:Caitlin Childs氏による”Pig-Nosed Turtle“ライセンスはCC BY SA2.0に基づく
学名:Carettochelys insculpta
英名:Pig-nosed turtleもしくはFly river turtle
分類:スッポンモドキ科 スッポンモドキ属
甲長:50~80㎝程
分布:インドネシア、オーストラリア、パプアニューギニア
価格:10000~20000円程度
寿命:野生下では25~30年程度、飼育下では40年程度とされている
生態
産卵のとき以外陸に上がらない完全水棲種。
水が澄んでいる河川や湖沼などに生息しています。
わりと浅瀬に生息しており水深7mほどの水域に定住しています。
河口付近や三角州でも見られることがあるようです。
石灰岩のある水域を好み、ph7.2~7.5と弱アルカリ性の水質の場所に生息します。
植物食性の強い雑食性。果実類、イチジクの葉、そのほか浅瀬に生える植物、
昆虫、甲殻類、魚類などを食べる。
特徴的な長い鼻はシュノーケルのような働きをするだけでなく、
土や濁った水の中から獲物を探すのに使われます。
ワニが最大の天敵です。
持ち込まれたスイギュウやオオトカゲ、野ブタなどにより
産卵巣が破壊されたり、生まれたばかりの個体が捕食されたりもします。
②飼育環境の作り方
飼育に必要なもの
- 飼育ケージ
- サーモスタットおよびヒーター
- フィルター
- エサ
以下で一つ一つ説明していきます
・飼育ケージ
小さい頃は90㎝水槽等で飼育し、成長とともに水槽もサイズアップしていく方針が最適かと思われます。
成長はそう速くないのですぐに準備する必要はないですが、最終的には180×100×100㎝以上の水槽を用意してあげてください。
このレベルの水槽となると、特注で作ってもらう必要があります。
後述しますが、オーバーフロー式フィルターが使えるような水槽にしてもらいましょう!
こういったサイトで作ってもらえるので、ぜひご覧くださいませ。
http://www.cot-up.com/index.html
また、180×100×100の水は1800ℓですのでまず間違いなく床の補強は必須です。
・温度
27~30℃が適正水温です。
この水温を上記のような膨大な水量の下で保つのは至難の業です。
熱帯魚用ヒーターを使うしかないので、何個も水槽内に取り付けて加温しなければなりません。
一般的に1リットルに対し2wのヒーターが必要だと言われています。
そういうわけで1800ℓだといくつかヒーターを併用して3600wも使用しなければなりません。
とてつもない熱量です。
火事には十分注意しましょう!!
90㎝水槽であれば下のヒーターで大丈夫です。
・水質について
スッポンモドキはきれいな水を好むカメですのでいつも水質をきれいに保つ必要があります。
水替えをこまめに行うことが水質を保つのにベストな方法ですが、水量が膨大なので水替えを頻繁に行うのはかなり難しいです。
そういうわけで、オーバーフロー式というタイプの特殊なフィルターの使用をお勧めします。
オーバーフロー式を簡単に説明すると、水槽の下部に穴を開け水を排出、その水を水槽とは別に用意した濾過槽で浄化し、もう一度水槽内に戻すというシステムです。
オーバーフロー式では濾過槽を大きくすればするほどろ過能力が上がるので出来るだけ濾過槽を大きくし、水質をきれいに保つようにしましょう!
スッポンモドキは弱アルカリ性の水質を好むので濾過槽にカキ殻を入れるとなお良いと思います。
・エサ
植食性の強い雑食性です。植物質:動物質=2:1の割合で与えるといいと言われています。
リクガメやハコガメ用フードの他、イチジクの実やリンゴなどの果実、シラスやエビなどを与えるといいと思います。
・その他注意点
息継ぎがしやすいように水槽内に水面が近くなるような場所を設けてあげてください。
紫外線は必要ありませんがフルスペクトルランプを日中に照射してあげるといいようです。
フィルターを使っていてもできるだけ水替えを行うことを忘れないように!
③まとめ
飼育方法をここまで書いてきました。
飼育が最低限できるであろう事項はまとめたものの、情報が少なくて詳しくはよくわからないというのが正直なところ。力及ばずすみません。
もう一度言いますが、スッポンモドキは生半可な気持ちで飼う生き物ではありません。飼育設備を整えるだけで30万円以上はかかってしまいますし飼育も簡単ではありません。
本気で飼いたい!!という方は私の書いた情報をベースにペットショップ等で分からないところは聞くという感じで飼育を開始するといいと思います。
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